おはようございます!
焼肉正のニクメン小島です。
まるでルビーのように赤く美しく輝いて、お箸でもちあげるとプリップリ。それをお口に運んで、ひと噛みすれば…コリッコリの歯応えに口の中いっぱいに広がる深いコクと甘味。
思い出しただけでよだれものですよね。
えっ?何の話かって?申し訳ございません。現在、当店でも品切れ中になっている「牛のレバ刺し(風)」の話しでした。
当店のレバ刺し風は、特殊な技術で食品衛生法
に則り保健所の指導の元、低温調理されていますので安心してお召し上がりいただけます。
まもなく再入荷いたしますので、楽しみにお待ちくださいね!
さて、昔は普通にどこでも食べられていた牛のレバ刺し。今では、食べる事ができません。これって、なんでかご存知ですか?
今日は、日本の食卓からレバ刺しが消えた本当の理由に迫ってみたいと思います。
今日の話しはこんな感じ
レバ刺しが消えた本当の理由
レバ刺し禁止のきっかけになった事件とは?
2011年富山県でチェーン展開していた焼肉屋さんで、集団食中毒が発生しました。
被害者の数は、なんと181名。その内の5名が亡くなるという悲惨な事件です。
食中毒症状を起こした方のほとんどが、そのお店でユッケを食べていた事から、原因はユッケだとされています。
実は、過去にもユッケや生レバーでの食中毒は頻繁に起こっていました。なぜ、この事件だけがこんなにも大問題に発展してしまったのでしょうか?
生レバーのずさんな衛生管理
どうも、このお店では衛生管理がずさんだったと指摘されています。指摘されていたのは以下の点です。
- 生食用の物と加熱用の物の、まな板や包丁を分けていなかった。
- 売れ残ったユッケを翌日も使用していた。
- 肉の衛生検査を怠っていた。
- 生食用の肉の表面のトリミングをしていなかった。
しかし、それ以上に社長の初期の対応がまずかったのです。
社長の逆ギレ会見
集団食中毒が発生して、まだ被害の全貌がわかっていない段階の釈明会見にて、社長は冒頭にこう述べました。
「数えきれないほどの人殺しというメールをいただきました…」
しかし、その後にこう続けます。
「法律で生食用というか、ユッケとして出しているものを全て禁止にすればいい」
この発言が責任回避と捉えられて大批判を浴びてしまったのです。
ただ、社長は自分も被害者で責任は肉の卸業者にあると責任を業者に押し付けました。
事実、ずさんな管理は明らかになったものの後の捜査では、未開封の肉からも、菌が検出された事。1店舗だけじゃなく複数店舗で同時多発的に発生していることから、汚染された肉は、店外から持ち込まれたと結論づけられました。
肉の卸業者の言い分
当時、牛肉は表面に菌がつくのでトリミング(表面をうすく削る事)すれば、生食が可能とされてきました。ここで、食中毒を出した焼肉店と、肉屋さんで話しが食い違っていました。
焼肉屋は、トリミング加工しているので100%生食で無駄なく使用できます。と説明されたと主張しました。
一方、肉屋さんは、そもそも生食用の肉でなく加熱用として販売したと主張したのです。
不起訴処分に…。
最終的に5人の命を奪った、恐ろしい大腸菌O-111は当時まだ知られておらず予見は難しかったという理由で不起訴処分となりました。この事件がキッカケで、恐ろしい大腸菌の存在が明らかになったです。
食品衛生法の改正
この事件以降、大規模な細菌検査が実施されました。その結果、今までは表面にしか菌がないとされていた、牛レバーの内部からも菌が検出されたのです。
これを受けて、2017年7月から生レバーの提供が禁止となりました。
国の発表では、その理由をこう説明しています。
「国民の食の安全を考えた時に、レバーを生食する事はリスクが大き過ぎる。」
O-157などの大腸菌は生のまま殺菌できる方法が現在はないそうです。中心温度を75℃で1分間の過熱が必要となります。ちなみに、冷凍しても死滅しないそうです。
生レバー提供で逮捕も?
2017年7月以降は、生レバ刺しが提供できなくなりました。僕も大好きだったし、ちょうど焼肉屋を始めたばかりだったので相当なショックを受けました。
代用品で、こんにゃくをレバ刺し風に食べるような商品も出ましたが…味は、まぁ。お察しです。
しかし、最初は法律違反と知りながらも提供するお店は多かったのです。また、お客さんも普通に「レバ刺し、あるやろ?」と聞いてきたりしました。今でも、たまにあるけど…
ところが、京都府の居酒屋で生レバーを「あかんやつ」と称して提供していたお店の店主が逮捕をされました。
続いて、大阪府でも提供していたお店の店主の逮捕が続きました。これは、いわゆる見せしめだったんでしょうね。
僕も、マジで捕まえるんや…とびびりました。提供してないけどね。
ユッケは大丈夫?
さて、もともと原因となったのはユッケだったはずですよね。じゃあ、ユッケも全面禁止されたかと言うと…じつは違うんです。ユッケは条件を満たせば提供できます。じゃあ、その条件とは?
- 腸内細菌科菌群が陰性でなければならないこと。
- 加工及び調理は、専用の設備を備えた衛生的な場所で、専用の器具を用いて行わなければならないこと。
- 肉塊の表面から深さ1㎝以上の部分までを60℃で2分間以上加熱する方法、またはこれと同等以上の効果を有する方法で加熱殺菌しなければならないこと。
- 加工及び調理は、生食用食肉(牛肉)の安全性確保に必要な知識を習得した物が行わなければならないこと。
これだけの基準をクリアすると提供できます。めちゃくちゃ大変でしょ?かなり、大きいお店じゃないとクリアできません。精肉店を併設している店舗とかね。
馬肉はいいの?
ところが、当店では馬刺しは提供しています。さらに、馬のレバー刺しならリスクなく提供できるのです。なんででしょう?
それは、単純にO-157のリスクがないからなのです。牛や鹿などの、反芻(はんすう)動物は消化管の中にO157を保菌しているのですが、馬は反芻動物ではない上に、体温が他の動物よりも高いのでO15が生息できないので感染の心配がないのです。
反芻動物とは。
ある種の哺乳類が行う食物摂取の方法。食物を口で咀嚼して、反芻胃に送って部分的に消化した後に、再び口に戻して咀嚼することで消化する動物のこと。
まとめ
どうでしたか?生レバーの恐ろしさがお分かりいただけたでしょうか?いまだに、シレッと生レバーっぽく提供してるお店もありますけどね。正直、気がしれませんね。まぁ、焼いて食べてもらうつもりで提供しています。って言うんでしょうけど。
また、当店のレバ刺し風が入荷したら、ご連絡いたしますね。それでも我慢できない方は、美味しい馬レバ刺しを紹介しておきますね。
間違っても、スーパーでレバーを買って生食しないで下さいね。一生後悔する事になるかもしれませんので。
今日も最後までありがとうございました!